会長メッセージ

ドーピー建設工業株式会社
代表取締役会長

稲田 義行

YOSHIYUKI INADA

面接はおしゃべりの場。
「明るくハキハキ」しなくていいんです。

元は私も平社員。

もともとはドーピー建設工業の一社員でした。社員が働く環境について必要以上に気にしてしまうのは、現場にいた頃を思い出すからでしょうか。

<写真>33歳の時に、現場代理人として完成させた斜張橋(札幌市)

送られてきた履歴書にはすべて目を通します。会長である自分が、どんな人が来るのかを把握していないとイヤだからです。もちろん社員全員の顔と名前は覚えていますよ。

ドーピー建設工業の面接は1回だけ。私を含めた取締役との個人面談です。決まりきった質問で攻め立てるようなものではなく、ゆったりおしゃべりする時間ととらえてください。学生さんの素直な気持ちやその時に思っていることを聞いています。

「面接では明るくハキハキ受け答えをする」のが正しい姿勢だと思っている方が多いのではないでしょうか?

元気があることはもちろん大切ですが、普段はおとなしい人だっていますよね。

以前、話すのが苦手だという子が面接を受けに来ました。「これまで受けた会社はすべて落ちてしまった」というので心配になりましたが、じっくり会話するうちに優しく聡明な人だなと感じたんです。この人ならきっと長く付き合っていけるだろう。そう思って採用を決めました。彼女は今、立派に働いています。

勤務地の希望や、実際の仕事についての疑問もどんどん伝えてください。
「東京で働くのに憧れがある」「実はお酒が弱い」など、どんな些細なことでも構いません。入社が決まる前に不安を解決しておきたいのは、学生さんも会社も一緒です。

決めごとは最低限。

2020年以降、新型コロナウイルスの感染対策としてテレワークを推進してきました。取り組み始めて以降、全国の本支店・営業所の出勤率は50~60%台まで下がりましたが、コロナ禍が去った現在は特殊事情のある方を除いてほぼ全員が出勤しています。今後もその時の状況に合わせて柔軟な対応を取っていきます。

正直に申し上げると、弊社の業務はリモートに向いていません。現場や工場で働く人たちにはどうしても出勤してもらう必要があります。

かといって、すごく能力がある人が「親の介護で家から離れられない」と申し出てきたら?

「辞めてもらうしかない」と決めつける前に、勤務時間や仕事内容を変えてうまく対応できないかを考えます。一人ひとり状況や能力は違いますから、柔軟に受け止めたいですよね。

個性ある会社を守るために。

社員を守るためには健全な経営が大前提。売上が安定しているからこそ、社員の希望に応えられる余裕ができます。

柔軟さは仕事の受注にも表れていると思います。公共事業を請け負うだけでなく、ゼネコンからの発注もあるんです。仕事の進め方がかなり違うので、社員には良い刺激になるでしょう。今後会社を取り巻く環境が変わっても生き残る企業づくりをしています。

過去には経営が厳しいときもありました。国の政策で公共事業が減り、建設業界全体が冷え込んだ時期のことです。当時いた社員になぜ辞めなかったのか?と聞くと「しんどかったけど、うちは居心地がいいですから」と言ってくれました。真面目で明るい社員たちに助けられてばかりです。

2020年より三井住友建設グループの一員になりましたが、ドーピーの個性は無くさないようにしています。親会社の色に染まってしまっては、相乗効果は生まれません。

社員一人ひとりを深く知り大切にする社風は、必ずグループ全体に良い影響をもたらすと信じています。